〈 It / Es 〉thinks, in the abyss without human.

Transitional formulating of Thought into Thing in unconscious wholeness. Circuitization of〈 Thought thing 〉.

Entries from 2022-01-01 to 1 year

▶ 安藤礼二の批評『 アントナン・アルトー論 』を批判的に考える〈 2 〉

上記の記事からの続き。 3章 深層の肉体へ 注意すべきは、アルトーが〈 肉体 〉に照準を定める事となった〈 思考 〉の錯綜過程・先鋭化過程です。たんに社会的反抗・革命を訴えるだけなら、過去の革命家の幾人かと同様、自らの言説・言葉使い・叙述それら自…

▶ 安藤礼二の批評『 アントナン・アルトー論 』を批判的に考える〈 1 〉

1章 ドゥルーズとガタリの「 器官なき身体 」に対する無批判的肯定への疑問 文學界2022年12月号掲載の安藤礼二による連載『 燃え上がる図書館 ー アーカイヴ論 』第五回「 ヘリオガバルスのアガルタ 」を読んでいて気になる点があったので書き残しておきま…

▶ 映画『 草原の実験 』( 2014 : directed by アレクサンドル・コット ) を哲学的に考える

映画 『 草原の実験 』 ( 露 : Испытание / 英 : Test ) 監督 アレクサンドル・コット ( 露 : Александр Котт / 英 : Alexander Kott、born : 1973~ ) 公開 2014年 出演 エレナ・アン ( Elena An : 1998~ ) ディナ / トルガットの娘 カリム・パカチャコフ ( …

▶ ジャック・ロンドンの小説『 生への執着 』について哲学的に考える

作品 「 生への執着 」 柴田元幸翻訳叢書 ジャック・ロンドン『 火を熾す 』所収 原題 『 Love of life 』( 初出:1905 ) 著者 ジャック・ロンドン 訳者 柴田元幸 2008年10月2日 第1刷発行 発行所 株式会社 スイッチ・パブリッシング A. 邦訳にしてわずか30…

▶ 『 野生の叫び 』( 1972 : directed by ケン・アナキン ) を『 さらば、愛の言葉よ 』( 2014 : directed by ゴダール ) と共に哲学的に考える〈 2 〉

A. ケン・アナキンはこの作品の創造において、ジャック・ロンドンの方法論を無意識的に踏襲している。 動物の視線の先にある世界、彼らには見えているが人間には見えない世界、を 人間が動物を見る視線 と 動物が人間を見る視線 と交錯させる事によって浮か…

▶ 『 野生の叫び 』( 1972 : directed by ケン・アナキン ) を『 さらば、愛の言葉よ 』( 2014 : directed by ゴダール ) と共に哲学的に考える〈 1 〉

映画 『 野生の叫び ( The Call of the Wild ) 』 監督 ケン・アナキン ( Ken Annakin : 1914~2009 ) 公開 1972年 原作 『 野生の呼び声 ( The Call of the Wild ) 』( 1903 ) by ジャック・ロンドン ( Jack London : 1876~1913 ) 出演 チャールトン・ヘスト…

▶ 映画『 CHLOE 』( 2009 : directed by アトム・エゴヤン ) を哲学的に考える

映画 『 CHLOE 』 監督 アトム・エゴヤン ( Atom Egoyan : 1960~ ) 公開 2009年 出演 アマンダ・サイフレッド ( Amanda Seyfried : 1985~ ) クロエ ジュリアン・ムーア ( Julianne Moore : 1960~ ) キャサリン・スチュアート リーアム・ニーソン ( Liam Nees…

▶ ゴダールの死から考える。

2022年9月22日、ジャン=リュック・ゴダール死去。その訃報に際して、彼の安楽死という選択に注目が集まったりしましたが、そのような死に方については別に考えるとして、ここでは彼の映画について、より抽象的に述べておきます。彼の死という〈 現実 〉へ…

▶ マルコ・ベロッキオの映画『 中国は近い 』( 1967 ) を哲学的に考える〈2〉

第4章 打算的意図による肉体関係、あるいは性的欲望による肉体関係 ▨ ヴィットーリオの "会計士" として雇われる事に成功したカルロは、 ヴィットーリオの姉 エレナと肉体関係を結ぶ ( 17~18 )。 これは、 裕福なエレナと関係を築いて経済的な恩恵に与ろう…

▶ マルコ・ベロッキオの映画『 中国は近い 』( 1967 ) を哲学的に考える〈1〉

監督 マルコ・ベロッキオ 公開 1967年 出演 グラウコ・マウリ ( ヴィットーリオ 役 ) ピエルルイージ・アプラ ( カミ―ロ 役 ) パオロ・グラツィオーシ ( カルロ 役 ) エルダ・タットーリ ( エレーナ 役 ) ダニエラ・スリーナ ( ジョヴァンナ 役 ) 第1章 政…

▶ サルヴァトーレ・サンぺーリの映画『 青い体験 』( 1973 ) を哲学的に考える

監督 サルヴァトーレ・サンぺーリ 公開 1973年 製作 シルヴィオ・クレメンテッリ 撮影 ヴィットリオ・ストラーロ 出演 ラウラ・アントネッリ ( アンジェラ 役 ) アレッサンドロ・モモ ( ニーノ 役 ) テューリ・フェッロ ( イニャツィオ 役 / ニーノ、エンツ…

▶ ピエロ・パオロ・パゾリーニの映画『 アッカトーネ 』( 1961 ) から『 ソドムの市 』( 1975 ) までの移行について哲学的に考える〈 2 〉

A. しかし、興味深いのは、このような "遺物 ( 排泄物 ) の生命回復" の試みは、この後の作品系列で、現代社会的なものの描写を通じて為されるのではなく、 より "過去的なもの / 神話的なもの" の描写を通じて為されていくという事です。 B. この事は何を意…

▶ ピエロ・パオロ・パゾリーニの映画『 アッカトーネ 』( 1961 ) から『 ソドムの市 』( 1975 ) までの移行について哲学的に考える〈 1 〉

監督 ピエロ・パオロ・パゾリーニ 公開 1961年 出演 フランコ・チッティ ( ヴィットリオ・"アッカトーネ"・カタルディ 役 ) フランカ・パスット ( ステラ 役 ) シルヴァーナ・コルシーニ ( マッダレーナ 役 ) 第1章 ネオレアリズム映画ではない 『 アッカト…

▶ トッド・フィリップスの映画『 ジョーカー 』( 2019 ) を哲学的に考える

はじめに ------------------ この記事は映画についての教養を手短に高めるものではありません。ここでの目的は、作品という対象を通じて、自分の思考を、より深く、より抽象的に、する事 です。一般的教養を手に入れることは、ある意味で、実は "自分が何も…

▶ 映画『 12モンキーズ 』 ( 1995 : directed by テリー・ギリアム ) と映画『 ラ・ジュテ 』( 1962 : directed by クリス・マルケル ) の差異を哲学的に考える

監督 テリー・ギリアム ( Terry Gilliam : 1940~ ) 公開 1995年 脚本 デヴィッド・ピープルズ ( David Peoples : 1940~ ) ジャネット・ピープルズ ( Janet peoples ) 出演 ブルース・ウィリス ( Bruce Willis : 1955~ ) ジェームズ・コール ブラッド・ピット…

▶ 映画監督

ヤン・コマサ ( 1981~ ) 『 聖なる犯罪者 』( 2019 ) を通じて "回心" を神学的・哲学的に考える

▶ ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画『 メッセージ 』( 2016 ) を哲学的に考える〈2〉

前回 ( 上記 ) の記事の続き。 4章 自由意志と目的地 この反転の瞬間、自らの人生の繰返しを単に知るのではなく、それを望み肯定する時、永遠回帰の円環性の中には自由意志の入る余地がないのではないかという一般的誤解に反して、紆余曲折のある自分自身の…

▶ ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画『 メッセージ 』( 2016 ) を哲学的に考える〈1〉

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ 公開 2016年 原作 テッド・チャン『 あなたの人生の物語 ( Story of Your Life ) 』( 2002 ) 出演 エイミー・アダムス ( ルイーズ・バンクス 役 ) ジェレミー・レナー ( イアン・ドネリー 役 ) フォレスト・ウィテカー ( ウェバー…

▶ ロシアのウクライナ侵攻から生起するもの。国家という政治形象を欲する人間、そして民主主義における人間〈 3 〉

■ 前回 ( 上記 ) の記事 ( 2022 / 04/05 ) からの続き 6章 人間を定義づける道徳行為 1. ここでシュミットは新カント派 ( マールブルク学派 ) 哲学の創始者、ヘルマン・コーエン ( 1842~1918 ) の『 純粋意志の倫理学 ( 1904 ) 』を持ち出して、コーエンが…

▶ ロシアのウクライナ侵攻から生起するもの。国家という政治形象を欲する人間、そして民主主義における人間〈 2 〉

■ 前回 ( 上記 ) の記事 ( 2022 / 03/30 ) からの続き 3章 単独表象としての人間 1. 2章で述べたウェーバーの人間概念の普遍性に対する危惧は、政治的暴力が現前するという冷酷な現実から生まれたものであり、その "人間概念に対する普遍的合意の脆弱性" …

▶ ロシアのウクライナ侵攻から生起するもの。国家という政治形象を欲する人間、そして民主主義における人間〈 1 〉

■ 2022年2月24日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンが隣国ウクライナへの軍事侵攻を開始した。民主主義的観点からはいかなる理由があれこのロシアの侵略行動が非難されるべきなのは当然なのです ( 僕自身もこの立場です ) が、恐ろしいのは、世界中からの…

▶ 映画『 田舎司祭の日記 』( 1951 : directed by ロベール・ブレッソン ) を通じて映画批評と神学について考える〈 3 〉

■ 前回 ( 上記 ) の記事 ( 2022 / 03/22 ) からの続き。 5章 愛としての死 司祭が死について考えていた事。それは司祭の内面の苦悩 ( 信仰への疑念 ) の帰結でもあったのですが、率直に言うなら、それは 死において愛が完成されるという信仰の究極の帰結 な…

▶ 映画『 田舎司祭の日記 』( 1951 : directed by ロベール・ブレッソン ) を通じて映画批評と神学について考える〈 2 〉

前回 ( 上記 ) の記事 ( 2022 / 03/22 ) からの続き。 3章 信仰と自由意志 伯爵の娘シャンタルは、家庭教師のルイーズが父親と浮気しているのが許せずに殺してやりたいと司祭に打ち明ける ( 11~14 )。ここで注意すべきは、司祭が、彼女の憎しみの気持ち自体…

▶ 映画『 田舎司祭の日記 』( 1951 : directed by ロベール・ブレッソン ) を通じて映画批評と神学について考える〈 1 〉

はじめに ------------------ この記事は映画についての教養を手短に高めるものではありません。ここでの目的は、作品という対象を通じて、自分の思考を、より深く、より抽象的に、する事 です。一般的教養を手に入れることは、ある意味で、実は "自分が何も…

▶ ヤン・コマサの映画『 聖なる犯罪者 』( 2019 ) を通じて "回心" を神学的・哲学的に考える

公開 2019年 監督 ヤン・コマサ 脚本 マテウシュ・パツェヴィチュ 出演 バルトシュ・ヴィェレニア ( ダニエル ) ウカシュ・シムラト ( トマシュ神父 ) トマシュ・ジェンテク ( ピンチェル ) ズジスワフ・ワルディン ( ヴォイチェフ神父 ) エリーザ・リチェム…

▶ 『 対論 : 斎藤幸平 × トーマス・セドラチェク 』を通じて共産主義への欲望を考える

『 BS1スペシャル 欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを超えて 』より 1章 マルクスに同意しなければ先に進めないのか? 1. 2022年元日に、NHKの番組 『 BS1スペシャル 欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを超えて 』の中で、斎藤幸平とトーマ…