〈 It / Es 〉thinks, in the abyss without human.

Transitional formulating of Thought into Thing in unconscious wholeness. Circuitization of〈 Thought thing 〉.

Entries from 2019-01-01 to 1 year

▶ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 4 〉

前回 ( 上記 ) の記事の続き。 6章 ハネケが無意識に考える集団的なもの 実は、ハネケが集団的なものの謎めいた不特定性を描いたのは『 白いリボン 』が初めてではありません。彼は既に、『 隠された記憶 ( 2005 ) 』の結末でも、集団的なものの不気味な不…

▶ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 3 〉

前回 ( 上記 ) の記事の続き。 5章 悪の出現 ようやく、ここにきて『 白いリボン 』におけるハネケの無意識的狙いを哲学的に解釈出来ますね。そのためには、ハネケの『 ファニーゲーム 』を念頭に置いておく必要があります。『 ファニーゲーム 』は通常は大…

▶ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 2 〉

前回 ( 上記 ) の記事の続き。 4章 ハネケのアプローチ 以上の事を踏まえた上で、『 白いリボン 』について考えていきましょう。多くの人が気付いているように、この作品はドイツの村での陰鬱な出来事がナチスの到来を予感させるものとして描かれています。…

▶ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 1 〉

公開 2009年 監督 ミヒャエル・ハネケ 脚本 ミヒャエル・ハネケ 出演 クリスチャン・フリーデル ( 教師 / エヴァと結婚する ) エルンスト・ヤコビ ( 語り手 / 過去を語る年老いた教師の声役 ) レオニー・ベルシュ ( エヴァ / 男爵家の乳母 ) ウルリッヒ・ト…

▶ マルクス・ガブリエルの『 なぜ世界は存在しないのか 』についての批判的考察

マルクス・ガブリエルの『 なぜ世界は存在しないのか 』・・・、この極端に単純化された哲学的説明によって覆われたこの本を読むと、僕は戸惑ってしまう ( *1 )。この本でまず確認出来るのは、世界が存在しないことでもなければ、新実在論についてでもない…

▶ ウィリアム・フリードキンの映画『 恐怖の報酬 オリジナル完全版 』( 2018:日本公開 )を哲学的に考える

公開 2018年 ( オリジナル版は1977年 ) 監督 ウィリアム・フリードキン 出演 ロイ・シャイダー ( ジャッキー・スキャンロン "ドミンゲス" ) ブルーノ・クレメル ( ヴィクトル・マンソン "セラーノ" ) フランシスコ・ラバル ( ニーロ ) アミドゥ ( カッセム "…

▶ 映画『 累 かさね 』( 2018 : directed by 佐藤祐市 )を哲学的に考える〈 4 〉

上記の記事からの続き。 6章 サロメの首、丹沢二ナの首 この映画において『 サロメ 』が特権化されているのは、監督の佐藤祐市がクライマックスの場面で、斬首された ヨカナーンの首 と 丹沢二ナの顔 ( 頭部 ) を "直結" させるアイデア を思いついたからで…

▶ 映画『 累 かさね 』( 2018 : directed by 佐藤祐市 )を哲学的に考える〈 3 〉

上記の記事からの続き。 5章 "サロメ" の誕生 この映画のラストで使われている戯曲『 サロメ 』がオスカー・ワイルドによるものだということは既に述べました。そして前回では、ワイルドの『 サロメ 』の源流として、新約聖書の『 マタイ伝 』、『 マルコ伝…

▶ 映画『 累 かさね 』( 2018 : directed by 佐藤祐市 )を哲学的に考える〈 2 〉

上記の記事からの続き。 4章 サロメの系譜 『 累 ーかさねー 』の中で上演される『 サロメ ( 1893 ) 』はアイルランドの作家、オスカー・ワイルド ( Oscar Wilde : 1854 ~ 1900 ) の戯曲なのですが、これは新約聖書におけるマタイ伝、マルコ伝、の話を基本…

▶ 映画『 累 かさね 』( 2018 : directed by 佐藤祐市)を哲学的に考える〈 1 〉

監督 佐藤祐市 ( 1962~ ) 公開 2018年 脚本 黒岩 勉 ( 1973~ ) 原作 『 累 -かさねー 』 松浦だるま ( 1984~ ) 出演 土屋太鳳 ( 1995~ ) 丹沢ニナ / たんざわにな 芳根京子 ( 1997~ ) 淵 累 / ふち かさね 浅野忠信 ( 1973~ ) 羽生田 釿互 / はぶた きんご …

▶ ルイス・ブニュエルの映画『 皆殺しの天使 』( 1962 )を哲学的に考える

監督 ルイス・ブニュエル 公開 1962年 出演 シルヴィア・ピナル ( レティシア / ワルキューレ ) エンリケ・ランバル ( ノビレ ) ルシー・ガヤルド ( ルチア / ノビレの妻 ) アウグスト・べネディコ ( コンデ / 医師 ) パトリシア・デ・モレロス ( ブランカ /…

▶ ピーター・グリーナウェイの映画『 ベイビー・オブ・マコン 』( 1993 )を哲学的に考える

監督 ピーター・グリーナウェイ 公開 1993年 脚本 ピーター・グリーナウェイ 出演 ジュリア・オーモンド ( 娘 ) レイフ・ファインズ ( 司教の息子 ) フィリップ・ストーン ( 司教 ) ジョナサン・レイジー ( コジモ・デ・メディチ ) 1章 演劇の中の現実的な…

▶ ロマン・ポランスキーの映画『 反撥 』( 1965 )を哲学的に考える

初めに。この記事は映画についての教養を手短に高めるものではありません。そのような短絡性はこの記事には皆無です。ここでの目的は、作品という対象を通じて、自分の思考を、より深く、より抽象的に、する事 です。一般的教養を手に入れることは、ある意味…

▶ 映画『 mother ! 』( 2017 : directed by ダーレン・アロノフスキー ) を哲学的に考える

監督 ダーレン・アロノフスキー ( Darren Aronofsky : 1969~ ) 公開 2017年 出演 ジェニファー・ローレンス ( Jennifer Lawrence : 1990~ ) 妻 ハビエル・バルデム ( Javier Bardem : 1969~ ) 夫 エド・ハリス ( Ed Harris : 1950~ ) 客人・夫 ミシェル・フ…

▶ 映画『 ブラックスワン 』( 2010 : directed by ダーレン・アロノフスキー )を哲学的に考える

監督 ダーレン・アロノフスキー ( Darren Aronofsky : 1969~ ) 公開 2010年 出演 ナタリー・ポートマン ( natalie Portman : 1981~ ) ニナ・セイヤーズ ヴァンサン・カッセル ( Vincent Cassel : 1966~ ) トマ・ルロイ ミラ・クニス ( Mila Kunis : 1983~ ) …

▶ ジョナサン・グレイザーの映画『 記憶の棘 』( 2009 )を哲学的に考える

監督 ジョナサン・グレイザー 公開 2004年 脚本 ジャン・クロード・カリエール ミロ・アディカ 出演 二コール・キッドマン ( アナ ) キャメロン・ブライト ( ショーン ) ダニー・ヒューストン ( ジョセフ ) ローレン・バコール ( エレノア ) 1章 死んだ夫と…

▶ ジョセフ・ルーベンの映画『 危険な遊び 』( 1993 )を哲学的に考える

監督 ジョセフ・ルーベン 公開 1993年 出演 マコーレー・カルキン ( ヘンリー・エヴァンス ) イライジャ・ウッド ( マーク・エヴァンス ) ウェンディ・クルーソン ( スーザン・エヴァンス / ヘンリーの母 ) ダニエル・ヒュー・ケリー ( ウォレス・エヴァンス…

▶ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 4 〉

A. シュレーバーの世界観の狂気を決定付けている "女性的なもの" の自分への取り込み、これについて考えるのを避ける訳にはいかないでしょう。彼が "女性的なもの" を取り込む際に持ち出す概念が "脱男性化" なのですが、おそらくほとんどの人はこの 脱男性…

▶ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 3 〉

A. 4章で述べたようにテクストに書き込まれなかった "父" ではない別の何かとは 妻ザビーネ に他なりません。シュレーバーの精神分析においてもほとんど言及される事のないザビーネ ( そもそも精神分析は男と女という "組合せ" について上手く語る事が出来…

▶ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 2 〉

A. 回想録における世界観の展開を読む上で見過ごすべきではないのは、シュレーバーの中で妄想が妄想として記憶されているとしても、回想録において彼は 妄想の記憶以上の事を詳細に語りすぎている のです。回想録を読んだことのない人でも、最初に記した目次…

▶ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 1 〉

『 シュレーバー回想録 ある神経症者の手記 』 邦訳 ( 平凡社ハードカバー版 1991年初版 全542ページ ) 著者 : ダニエル・パウル・シュレーバー 訳者 : 尾川 浩、金関 猛 改題 : 石澤誠一 目次 ・ 序言 ・ 枢密顧問官・医学博士フレッヒジヒ教授への公開…

▶ アッバス・キアロスタミの映画『 桜桃の味 』( 1997 )を哲学的に考える

監督 アッバス・キアロスタミ 公開 1997年 出演 ホルマン・エルバディ ( バディ 役 ) アブドルホセイン・バゲリ ( バゲリ 役 ) 1章 桜桃を味わうこと この映画の主人公バディは、車に乗って自殺を手伝ってくれる人を探しに出かけます ( 自殺の理由は示され…

▶ イングマール・ベルイマンの映画『 仮面 / ペルソナ 』( 1967 )を哲学的に考える〈 3 〉

上記 ( 前回 ) の記事からの続き。 4章 顔からの解放 おそらく、この映画でのベルイマンの狙いとは、舞台における演技者同士のやり取りの本当の対象が第三者の観客であるならば、そのやり取りがどのようなものであれ第三者に届くという舞台あるいは映画にお…

▶ イングマール・ベルイマンの映画『 仮面 / ペルソナ 』( 1967 )を哲学的に考える〈 2 〉

上記 ( 前回 ) の記事からの続き。 3章 演技の虚構性 このへんで映画のストーリーの方に立ち戻ってみましょう。女優のエリザベートは舞台で突然沈黙してしまう。その理由は笑いそうになったからという。ほとんどの人は、この理由は見過ごしてしまうでしょう…

▶ イングマール・ベルイマンの映画『 仮面 / ペルソナ 』( 1967 )を哲学的に考える〈 1 〉

監督 : イングマール・ベルイマン 公開 : 1967年 撮影 : スヴェン・ニクヴィスト 出演 : ビビ・アンデション ( アルマ ) : リヴ・ウルマン ( エリザベート・フォグラー ) : マルガレータ・クルーク ( ドクター ) : グンナール・ビヨルンストランド ( …

▶ 映画『 マドモワゼル 』( 1966 : directed by トニー・リチャードソン )を哲学的に考える

映画 『 マドモワゼル ( Mademoiselle ) 』 監督 トニー・リチャードソン ( Tony Richardson : 1928~1991 ) 公開 1966年 脚本 ジャン・ジュネ ( Jean Genet : 1910~1986 ) マルグリット・デュラス ( Marguerite Duras : 1914~1996 ) 撮影 デヴィッド・ワトキ…