〈 It / Es 〉thinks, in the abyss without human.

Transitional formulating of Thought into Thing in unconscious wholeness. Circuitization of〈 Thought thing 〉.

【 僕を哲学的に考えさせるコンテンポラリーダンス〈高瀬譜希子〉】

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 ◆ 僕を哲学的に考えさせるコンテンポラリーダンス〈菅原小春〉ではダンサーの菅原小春について書きました。その中で彼女は Years&Years (イギリスのエレクトロニカバンド) の "Desire" に振付をしていたのですが、その Years&Years に影響を与えたRADIOHEADトム・ヨークが自らの曲のMVでコンテンポラリーダンスを披露している事にも触れておきましょう。

 

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1.   ATOMS FOR PEACE の "Ingenue" と高瀬譜希子

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   とはいえ、ここで言及したいのは、トム・ヨークが初めてダンスを披露した事で話題になったRADIOHEAD の MV "Lotus Flower" ( 英国ロイヤルバレエ団のコレオグラファーであり、自ら主宰するカンパニー、 Random Dance を持つウェイン・マクレガーが振付している ) ではなく、レッドホットチリペッパーズのフリーと共に結成したサイド・プロジェクト、ATOMS FOR PEACEの MV "Ingenue" です。

 

        

 

   この "Ingenue" もウェイン・マクレガーが振付しているのですが、特筆すべきはウェイン・マクレガー主宰のRandom Danceに所属する高瀬譜希子トム・ヨークと共演している事ですね。"Lotus Flower" に比べて何がいいかと言うと、トム1人より、高瀬譜希子との2人でのパフォーマンスの方が、ウェイン・マクレガーの世界観に近い、つまり、身体動作の可能性を追求するコンテンポラリーダンスの本質に迫っているという訳ですね。

 

   MVの構成自体も面白くて、最初は1人しかいないかのように思えたダンサーが、ノートン&サンズ ( ミック・ジャガーも着用する歴史ある英国ブランド ) 仕立のスリーピースを纏ったトム・ヨークと高瀬譜希子の2人によって切り替わりながら演じられ、やがて2人として動いていくという流れになっています。ここでの高瀬譜希子の動きはさすがというべきで、ややぎこちないトムの動きを補って余るものであり、見るべき価値があるといえるでしょう。

 

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                 高瀬譜希子

 

 

   "Ingenue"の本来の世界観を味わうのなら、何といってもLIVEヴァージョンです。

 

        

 

   "Ingenue"に興味を持った方にオススメしたいのが ATOMS FOR PEACE のアルバム『 AMOK 』です。RADIOHEADトム・ヨークの事を知らなくても、そんな事を抜きにして楽しめる1枚だと思います。アンビエントミュージック ( たとえばブライアン・イーノ! ) にモダンなアプローチをした結果に生まれたエレクトロニカミュージックとでもいえるでしょうか。

 

        

 

 

2.   Random Dance の高瀬譜希子

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   ATOMS FOR PEACEに言及したので、ATOMつながりという事で、高瀬譜希子が普段所属しているRandom Dance の映像を紹介しておきますね。

 

        

 

   Random Dance の『 ATOMOS 』ダイジェスト版です。もちろん高瀬譜希子の姿も見れます。よく見ないと分からないかもしれませんが。この作品は、ウェイン・マクレガーという特異なコレオグラファーの思考の本質を表しているのですが、ダンサー達が作品テーマである原子の運動を単に表現しているだけではなく、コンテンポラリーダンスの自立的原理それ自体をひとつの運動として示すというマクレガーの思考を実践しているのです。

 

   とはいえ、彼は決して自分の考えをダンサー達に遂行させるという単純主義者ではない。彼は自分の考えを、ひとつの〈 課題 〉としてダンサー達に与え、そこから引き出される解釈も取り込みながら作品を構築するアプローチを採っている。高瀬譜希子もそういうやり方の中に身を置いているという訳ですね。

 

そんなウェイン・マクレガーについても語っている高瀬譜希子のインタビューがこちら。

 

 

 

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