It ( Es ) thinks, in the abyss without human.

Not〈 I 〉 but 〈 It 〉 thinks, or 〈 Thought 〉 thinks …….

▶ 『 プラスティック・ラブ 』と NEW JEANS

 

▧  シンガーソングライターの竹内まりやがデビュー45周年の節目に、2014年の『 TRAD 』以来10年ぶりのオリジナルアルバム『 Precious Days 』を2024年10月16日に発売するとの記事が昨日 ( 2024.07.11 ) 上がってました。ファンの方は喜んでいるでしょう。竹内まりやといえば、少し前にK-POPアイドルの NEW JEANS が東京ドームのファンミーティング ( 日本的に言う所のコンサートやライブの事 ) でメンバーのへインが竹内まりやの『 プラスティック・ラブ 』をカバーした事が話題 ( ハニによる松田聖子の『 青い珊瑚礁 』のカバーと共に ) になりましたね。

▧  もちろん、これは NEW JEANS が所属する ADOR の代表、ミン・ヒジンによる日本のファンを楽しませる為の見事な演出なのですが ( 2000年代生まれの NEW JEANS のメンバーが元から知らないのは当然として1979年生まれのミン・ヒジンですらリアルタイムでは聴いていないんですよね )、面白いのは観客が最も沸いたのは『 青い珊瑚礁 』であり『 プラスティック・ラブ 』がそれに次ぐものだったという点で、ファン層の興味対象がアイドルカテゴリー的であり ( 松田聖子は世代を超えているアイドルなので )、アーティスティックな竹内まりやは名前こそ知られてはいても『 プラスティック・ラブ 』は『 青い珊瑚礁 』程の知名度は無いのだろうなという事です。

▧  それは NEW JEANS がカバーしたから『 プラスティック・ラブ 』を知ったという方が意外と多いだろうという事でもありますね ( 世代差に関係なく )。実際、YouTube のコメントを見ていても絶賛しているのは、おそらく NEW JEANS のファンばかりで昔からの竹内まりやの熱心なファンは余り騒いでいないのが面白い ( このカバーが竹内まりや本人にも認知されているのはファンも知っているのでしょうけど )。

▧  昔からの竹内まりやのコアなファンからしたら、アイドルファンたちの "にわか認知" について今更コメントしようもないでしょうが、このような緩やかな認知は楽曲を生き延びさせるのに必要な現象なのだな と僕は改めて思いましたね、今回のカバーに限った事だけではなく。コアなファンはアーティストを支える大切な要素であり、アーティストへの理解を深堀させてくれるものなのですが、多分それだけでは1人の人間の人生以上に楽曲を生き延びさせる事は出来ない。コアなファンだって、アーティスト本人だって、いつかは年老いていなくなりますからね。対象 ( 楽曲など ) を深くは理解しないが緩やかな認知に留まるという世間の一般的現象 は、にわか的で浅はかなものであるとしても、対象に対してアクセスする自由が誰にでも保障された "緩衝圏域" が対象の周囲には出現している事を示している。確かにそれは漠然としたものです。しかし、そのような "間接圏域" がある事こそが、対象本体に直接的にアクセスするような深堀りの技術が無くとも、真の対象の周囲に "存続性 / 永続性" の空気・雰囲気を形作る事に至るのです ( そのようなものがあるのだなというくらいの感覚の構築ですね )。これはとても大切な事です。もっとも、僕自身は当ブログの映画考察などでも分かるように、かなり物事を深堀して考える人間なのですが ( 笑 )。

▧  それにしてもミン・ヒジンの行動は速かった。6月26・27日の東京ドーム公演で好評だったハニの『 青い珊瑚礁 』、へインの『 プラスティック・ラブ 』を7月6日の日テレの音楽番組『 THE MISIC DAY 』で披露させるというフットワークの軽さ。「 プラスティック・ラブ 」って元は竹内まりやが30才手前で発売したアルバム『 VARIETY ( 1984年発売 ) 』の収録曲だったのですが、これを16才のへインが自分の曲であるかのように堂々と歌ったのは衝撃でしたね。凄いプロデュースですよ。