収録曲
1 tennessee driver ( 2:48 )
2 wasting away ( 2:17 )
3 choking gesture ( 3:39 )
4 gravel pit ( 4:09 )
5 cut throat ( 1:49 )
6 smoke the fire ( 2:50 )
7 cocaine the white devil ( 4:50 )
8 redneck ride ( 2:12 )
9 no regrets ( 2:57 )
10 doin' what i want ( 3:55 )
ハンク・ウィリアムス3世 / Hank Williams III ( vocals, guitar, bass, drums )
■ ハンク・ウィリアムス三世による Hard Core Punk / Hard Core Metal バンド、AssJack の1st アルバム『 AssJack 』( 2009 )。ただ、バンドとは言っても、実際はハンクがテネシー州の自宅スタジオにて、全ての作曲、全ての楽器の演奏、を含めたアルバム制作をセルフプロデュースで行っている ( エンジニアとしてこれまでハンクの作品を手伝ってきた Jim Lightman が参加している )。これをほぼ1人でこなしたというのは驚異的な才能です。この時は、彼もまだ三十代半ばという事もあって曲に込められている勢いが凄い。
■ いや、その前に、そもそもハンク・ウィリアムス三世とは誰なのか。カントリー・ミュージックに詳しい人なら、その名前から、かつての ハンク・ウィリアムス ( Hank Williams : 1923~1953 ) を想起して、三世という事は、彼の孫なのか、と思い至るでしょう。そう、ハンク三世は祖父のハンク・ウィリアムスから、その息子である ハンク・ウィリアムス Jr. ( Hank Williams Jr. : 1949~ ) 、つまり、彼の父親へと引き継がれてきたカントリー・ミュージシャンの家系に生まれた人物なのですね。
■ しかし、ハンク三世も最初からカントリーミュージックに染まっていた訳ではなかった。カントリーミュージックが傍にある環境であったものの、若いハンク三世を魅了した音楽はパンクロックであり、その後、スラッシュメタル、デスメタル、等のヘヴィミュージックから影響を受けながらカントリーミュージックを辿り直し、彼なりのスタイルを構築していった。彼は生粋のカントリーミュージシャンでもないし、商業主義的ミュージシャンでもない ( それは彼が最も嫌うものです )。言いうるとすれば、カントリーミュージックをベースにしたハイブリッド ( 雑種的 ) ミュージシャンという所でしょうか。そんなバックボーンが窺えるインタビューが以下。
■ なので、彼は自分の立ち位置を世間に認知させるには特殊なミュージシャンであり過ぎた。カントリーミュージックファンからすると、あのハンク・ウィリアムスの孫、ハンク・ウィリアムス Jr. の息子であるのに、パンクロック、ヘヴィメタル、をする。その一方で、ヘヴィメタルで一時代を築いたパンテラのフロントマン、フィリップ・アンセルモ ( Philip Anselmo : 1968~ ) のサイドプロジェクトバンド、スーパー・ジョイント・リチュアル ( Superjoint Ritual ) におけるベース・プレイヤ-として知られるばかりで、ヘヴィメタルファンからはカントリーミュージシャンの活動に興味を余り持たれる事もなかったりする。そんな彼は雑種的な音楽性をアピールするかのように、自分のライブを The Damn Band と共に三部構成仕立て、まずはカントリー、次いでカウパンクやサイコビリーなどのヘルビリー、最後にハードコア・パンクやスラッシュメタル、という具合に楽しませてくれます。