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◆ 僕を哲学的に考えさせる映画〈ダークマン〉

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監督:サム・ライミ

出演:リーアム・ニーソン

  :フランシス・マクドーマンド

  :コリン・フリールズ

  :ラリー・ドレイク

公開:1990年

 

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B級映画監督サム・ライミによるダークヒーロー

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f:id:mythink:20160523084514j:plain かつては【死霊のはらわた】などのホラー映画でB級映画の監督として知られたサム・ライミが【スパイダーマンシリーズ】以前に作ったダークヒーローものの原典といえる映画です。

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain ダークヒーローといえば、今ではクリストファー・ノーランの【バットマン ダークナイト】が有名ですが、それに影響を与えているといっても過言ではないでしょう。この風貌からして異形のダークヒーローというしかないです。【ダークナイト】のトゥーフェイスことハービー・デント検事を思い起こさせますね。

    

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ダークマンの誕生

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f:id:mythink:20160523084514j:plain 人工皮膚製作の研究に取り組んでいる科学者のペイトン・ウェストレイク(リーアム・ニーソン)は、一緒に暮らしている恋人の弁護士ジュリー・ヘイスティングス(フランシス・マクドーマンド)が持つ書類(土地開発に絡む収賄事件の証拠)を盗りにきたロバート・G・デュラント(ラリー・ドレイク)らのマフィアに襲われて全身に重度の火傷を負ってしまいます。

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain 収容先の病院で痛覚を取り除くための神経を切られた事によって感情の抑制が難しくなったペイトンは怒りに伴うアドレナリンの増大で超人的な力を発揮できるようになります。寝台にしっかりと固定されたペイトン(患者をそんなに固定する必要があるのかッ、と思いましたけど)は目を覚まし怒りのパワーで固定バンドを外し、病院を抜け出してからマフィアへの復讐を始めるのです。自らの研究であった人工皮膚を被り、誰にでも成りすませる事も出来ます。ただし、人工皮膚は暗闇では維持出来るが、光のある場所では99分間しかもたない。つまり、これはペイトン自身が人前に本来の姿を晒せず、闇の中で生きていく事しか出来ない事を象徴しています。このとき、ダークマンが誕生したといえるでしょう。

 

 

ダークヒーローは正義ではない?

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f:id:mythink:20160523084514j:plain マフィアを裏で操っていた不動産業界の大物ルイス・ストラック・Jr(コリン・フリールズ)によって連れ去られたジュリーを救うために、ペイトンは骨組みだけの建設中の高層ビルでルイスと戦います。ルイスは若い頃このような場所で父親に働かされていたらしく戦闘的に優位なのに対して、ペイトンは足元がおぼつかなく苦戦を強いられる。右手を釘で鉄骨に打ちつけられ身動きできず万事休すかと思われましたが、ここでアドレナリンを分泌による超人的パワーで釘を引っこ抜くと、その勢いでルイスに反撃します。その間にジュリーを先に助けたりして最後にルイスを吹っ飛ばすのですが、落下しそうになるルイスの片足を引っ張り、踏み留めます・・・。

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain そこでルイスは言います、「私を殺したら、お前は私以上の悪人になる。お前にはそんなこと出来ない」。しかし、ペイトンは目を閉じて手を離す。そして落下するルイスを見ながら「良心を鍛えるだけだ」と言い放つのです。

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain 戦いの最中にルイスにも言われましたが、ペイトンは自分の振舞いが正義などではなく、復讐に過ぎない事を承知していたのですでは復讐が正義でなければ、それは何でしょう端的に言うと、それはもうひとつの悪です復讐という名の悪が、自分を苦しめた最初の悪を滅ぼしたに過ぎないのです。ここには正義は残念ながらないといえるでしょう。それでも正義というのなら、それは悪自身が、自らに対して良心の呵責を持ち始めた事を示す標識としての言葉に過ぎないものであるが、残念ながらそれは自分から目を逸らす悪の振舞いに過ぎません。

なのでダークマンからスパイダーマンバットマンに連なる系譜としてのダークヒーローの特徴とは、自分もひとつの悪に過ぎないのであり、そこから逃げ出そうにも逃げ出せず、自分の中でそれを背負い続ける宿命を持った者だといえるでしょう

 

 

■ 本作に出演したラリー・ドレイクが2016年3月17日、ハリウッドの自宅で亡くなられました。享年66才。ご冥福をお祈りします。

 

 

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