哲学的考察と備忘録

ブログタイトルをクリックすると先頭ページのカテゴリー欄が現れます。

僕を楽しませてくれた映画『 007 カジノ ロワイヤル 』のオープニングをクリス・コーネルの死から再び見直した

f:id:mythink:20180331232415j:plain



 

f:id:mythink:20170528103002j:plain

   長髪がトレードマークだった彼にしては珍しく短めの髪を立てている。

 

    2017年5月17日、クリス・コーネルが自殺しました ( 1 )。享年52歳。早過ぎる死ですね・・・。元々は、サウンドガーデンオーディオスレイヴのバンドにおけるヴォーカルとして出発しましたが、近年では、その歌唱力で1人のヴォーカリストとしてのパブリックイメージを確立していたと言っていいでしょう。最近ではサウンドガーデンを再結成したりしましたが、そこで彼がかつてバンドマンだったんだと知った若いファンもいるのではないでしょうか。

 

   そして彼のヴォーカリストとしてのイメージに大きく貢献したのが、『 007 カジノロワイヤル 』の主題歌 "You know My Name" ( 2006年 ) であった事は間違いないでしょう。『 007 カジノロワイヤル 』はダニエル・クレイグが初めて起用された新生ジェームズ・ボンドの第1作であり、そのオープニングを飾るにふさわしい主題歌として、" You know My Name" は展開されるグラフィックアニメーションと共に、私達を楽しませてくれましたね。

 

f:id:mythink:20180331232459j:plain




1.   007の孤独を歌い上げる " You Know My Name "

f:id:mythink:20180331232415j:plain



   " You know My Name ( 俺の名前は知っているはずだ ) " ・・・もちろん、この歌は007の孤独について歌われたものですが、孤高という意味では007の主題歌を歌うのにクリス・コーネルほどの適任者はいなかったといえるでしょう。といのも彼のキャリアを振り返った時に分かるのが、特定のジャンルに安住するようなタイプの人間ではなかった、つまり何かのジャンルに縛られないが故に、音楽的には説明しにくい人間だったという事です。普通は自分が売れたジャンルの音楽をずっと作らざるを得ないのですけどね、生活のために・・・。でも彼はそんなタイプの人間ではなかった。音楽界において自分の趣向にこだわった数少ない人間だったという訳です。

 

   例えば、サウンドガーデン時代においても、グランジロックの祖として紹介されたりしますが、それはアルバムSuperunknown (1994) の時期であり、それ以前のBadmotorfinger (1991) などはへヴィロック的に評価が高くアグレッシヴであったりする ( ちなみに、このアルバムのプロデュースは、パンテラでもお馴染みのテリー・デイトが担当している )。

 

   その後は、オーディオスレイヴレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのメンバーと共にグランジを源泉とするオルタナティヴ・ロックをより洗練し簡素化させた方向 ( 結局の所、これは普遍的なロックに近づく事を意味するのだけど ) に向かう。そしてソロアルバムを4枚出している事を考えれば、彼が自分のその時々の音楽的嗜好 ( 3 ) に忠実であった事が分かりますね。

 

   コレは、悪く言えば、一貫性がないとかいうことになるのかもしれませんが、クリス・コーネルは自分の歌声が、特定のジャンルではなく、より普遍的なロックにおいてこそ生きる事を実感していったという事の結果なのでしょう。

 

 

     

 

 

   007 カジノロワイヤルのオープニング。クリス・コーネルの " You Know My Name " と相俟ってカッコいい。それも、007シリーズの中でも間違いなくカッコいい部類に入ると言っていいでしょう。展開されるモーショングラフィックと歌詞のシリアスさの相乗効果が007の孤独を一層浮かび上がらせる。

      f:id:mythink:20180326100549j:plain 

      f:id:mythink:20180326100653j:plain

      f:id:mythink:20180326100856j:plain

      f:id:mythink:20180326101011j:plain

      f:id:mythink:20180326101129j:plain

      f:id:mythink:20180326101158j:plain

      f:id:mythink:20180326101228j:plain

       f:id:mythink:20180326101252j:plain

       f:id:mythink:20180326101320j:plain

       f:id:mythink:20180326101347j:plain

       f:id:mythink:20180326101426j:plain

       f:id:mythink:20180326101447j:plain

 

  

 

 

f:id:mythink:20180331232459j:plain




( 1 )

   メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドはクリス・コーネルの死についてインタビューで答えている。

f:id:mythink:20170604172920j:plain

 

" 今回の一件で、誰しもが自分自身にある闇に出くわして、それに捕まってしまったような心地になってしまいかねないんだってことを気付かされたよ "

 

" そして、そうなってしまったらーー少なくとも俺は時々自分の闇の深さを思い知るんだけどさーー自分の闇の中に入ってしまったら、そこには自分を救ってくれる誰かがいることや、前にも乗り越えたことのある闇だってことに気が付くのは難しいんだよ。時には本当に自分を喪失してしまうことだってある。当然、俺には……クリス・コーネルが何に苦しんでいたかは分からない。けどさ、俺たちは誰しもが自分の闇を抱えているんだよ。お互いにチェックしないといけないんだ。お互いにチェックし合うんだよ。お互いが元気にやれてるか確認するんだ "

 http://nme-jp.com/news/38395/ より

 

   ジェイムズ・ヘットフィールド自身も、過去のインタビューでドラッグ・アルコール依存症であった事があり、そういうものに手を出してしまう弱さが自分の中にある事を語っている。クリス・コーネルアルコール中毒であった時期がある。

そして何よりも昔から彼の周囲に死の影 ( 2 ) があり、そういった事に彼も気を配っていたであろうに、残念な結果になってしまった事にはやるせなさを感じてしまう。

 

( 2 )

   最も有名な所では、同じくグランジを代表するバンド、ニルヴァーナカート・コバーンによるショットガン自殺 ( 1994年 )。これ以前には、マザー・ラヴ・ボーンのフロントマンだったアンドリュー・ウッドがヘロインのオーヴァードーズによる死亡 ( 1990年 )。これまた同じグランジバンドのストーン・テンプル・パイロッツスコット・ウェイランドが薬物中毒が一因である事によって死亡 ( 2015年 )。

 

        ニルヴァーナ "Smells Like Teen Spirit"

  

 

                       マザー・ラヴ・ボーン "Stardog Champion"

     

 

 

■   マザー・ラヴ・ボーンのアンドリュー・ウッド死後、クリス・コーネルはマザー・ラヴ・ボーンのメンバーだったジェフ・アメン、ストーン・ゴッサードと共に追悼の意味で Temple of the Dog を結成。当然、マザー・ラヴ・ボーンをカバーしている。

 

            Temple od the Dog "Stardog Champion ( Mother Love Bone cover )"

  

 

 

■   スコット・ウェイランド・・・素行に色々と問題のある人だったが、声は好きだったな。

      ストーン・テンプル・パイロッツ "Interstate Love Song"

  

 

( 3 )

   キャット・スティーヴンスやニック・ドレイクなどフォーク・ロックの影響を受けるようになった事をインタビューで語っている。

 http://rollingstonejapan.com/articles/detail/25094/1/1/1 を参照。

 

                           キャット・スティーヴンス "Wild World"

  

 

       ニック・ドレイク "Day is Done"

  

 

 

 

f:id:mythink:20180427202224j:plain



このブログ内の関連記事

 

 

 

 

 

f:id:mythink:20180331232415j:plain