哲学的考察と備忘録

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僕を楽しませてくれたミュージシャンの音楽的ルーツ〈 HYDEをかたち作った6枚 〉

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   L’Arc~en~CielVAMPS、のHYDEが『 Rolling Stone JAPAN 』( 2016年2月号 ) のインタビュー HYDEをかたち作った6枚で、自分が影響を受けた6枚のアルバムについて語っています。こういうアーティストが影響を受けた音楽を語るのは、そのアーティストの熱狂的なファンでなくても、その人の音楽のルーツが垣間見え、それが納得出来たり、意外に感じたりして興味深いものです。正直言って、かなり多彩な内容なので、以下にあげられたアルバムのどれかを聴いた事がある人でも、全てを聴いた人はそういないのではないかと思えるくらいです。逆に言うと、それはHYDEがジャンルに関係なく、様々な音楽を聴いていく姿勢がある事を示していますね。

 

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 1.   GASTUNK『 EARLY SINGLES 』

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   彼が最初に挙げたのが、GASTUNKです。L'arcの音楽しか知らない人からしたらどんなバンドなのかさっぱり分からないでしょう。1980年代当時におけるメタルとハードコア・パンククロスオーヴァーを体現していたバンドであり ( 元々メタルとハードコア・パンクは相反するものでした )、ハードコアの激しさにメタルのスピード感が加わった曲が特徴的でした。ハードロック色の強い後期よりも、メタル・ハードコア色の強いインディーズ時代を含めた前期は本当に素晴らしい。その時期の曲を集めたアルバムが『 GASTUNK / EARLY SINGLES 』です。

 

HYDEは言っています、

 

"僕が初めてライヴハウスに行ったのもGASTUNKのライヴじゃないかな。その時の衝撃は永遠ですね。"

"まさにVAMPSでやりたいことって、それなんですよ。その時の体感を今現代でやったらどうなのかっていうのを焼き直しているだけかもしれない"

 

       

  "GERONIMO"   from 『 EARLY SINGLES 』

 

 

"DEVIL"   from 『EARLY SINGLES』

 

 

                       

 "SHOUT"

 

『 EARLY SINGLES 』には収められていないが、オススメの1曲。メタルが好きな人からしたら、マイケル・シェンカーの影響を受けているTATSUのギターは本当に楽しめますね。 

 

"Sex、Blood、Rock'nRoll"

 

VAMPSで衝動の強い曲といえば、これでしょう。 

 

 

 2.   MISFITS 『 Legacy of Brutality 』

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『 Legacy of Brutality 』 by  MISFITS

 

   HYDE曰く、ホラーパンクを求めて辿りついたのが、MISFITSという事らしいです。他のアルバムと違って、ハードコアっぽくない本作『 Legacy of Brutality 』が気に入ったようですね。

 

   ハードコアっぽくないという点でいえば、『 Legacy of Brutality 』以上にオススメなのが『 FAMOUS MONSTERS 』です。キャッチーでMISFITSならではのPOPさが満載のこのアルバムは、コアなファン向けというよりは、誰が聞いても楽しめる普遍的な傑作となっていますね。発売当初、BURRN! 誌のレビューでも90点台を出したと記憶しています。Voがオリジナルメンバーのグレン・ダンジグではなく、マイケル・グレイヴスなので、評価しないコアなファンもいるようですが、MISFITS史上最も楽しめるアルバムだと個人的に思いますね。このアルバムのツアーで日本にも来ています。僕が見たライブでは、マイケル・グレイヴスは最後の方で全裸になっていた。

                          

  FAMOUS MONSTERS

 8曲目の "Saturday Night" は素晴らしいバラード 

 

"SECRET IN MY HEART"   by   VAMPS

 

ヴァンパイアの宿命により人を自由に愛する事ができないせつなさを歌った曲。サビの部分が美しい。

                          

"REDRUM"   by   VAMPS

殺人者の衝動を歌った曲。REDRUM=MURDER ということですね。 

 

3.   David Sylvian『 Brilliant Trees 』

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Brilliant Treesby David Sylvian     

 

   HYDEの美意識に大きな影響を与えたデヴィッド・シルヴィアン

 

"本当に美しい顔で呪文みたいな歌で、すべてが美意識の塊みたいで。当時の僕にとってデカダンスの始まりでした。妙に好きで、本当に聴きまくっていまし た。いちばん吸収する多感な頃だったので、その時の影響はすごく大きいかもしれない。デヴィッド・シルヴィアンはいまだに僕のアイドルです。( HYDE )"

 

   デヴィッド・シルヴィアンのアルバムとしては、『 Brilliant Trees 』を名作とする声が多いのですが、それ以上に『 Secrets of the beehive 』こそ、彼の最高傑作といえるでしょう。装飾を排したシンプルな曲で構成されたアルバムでありながら、彼の世界観が余す所なく体現されているという意味で、そこら辺のロックでは太刀打ち出来ない程 "へヴィな" 作品だといえます。坂本龍一のアレンジやプロデューサーのスティーヴ・ナイによる仕上げが施されているのはもちろんですが、それ以上にデヴィッド・シルヴィアンの自分の世界観を創り上げるという強力な意志が貫かれています。聴く人にこれほど内面世界に耽溺させる作品にはそう出会えるものではありませんね。ちなみに2003年に再発された本作のデジタル・リマスター盤では、残念な事に削られた "Forbidden Colours"( 映画『戦場のメリークリスマス』における坂本龍一作曲のメインテーマにデヴィッドが歌詞を乗せて歌ったヴァージョン。"Forbidden Colours"というタイトルが三島由紀夫の小説 "禁色" の英語版に由来する事は有名ですね )ですが、このYou Tube版では聴くことが出来ます。

    

『 Secrets of the Beehive 』  by  David Sylvian

 

   そんなデヴィッド・シルヴィアンHYDEが最も近かった時期がソロ名義で発表されたアルバム『 ROENTGEN 』の頃でしょう。L'arcの時とは違うHYDEの世界観が確立された傑作です。

          

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" evergreen "  from 『 ROENTGEN 』

  アルバムを代表する名曲。 

               

" SHALLOW SLEEPfrom 『 ROENTGEN 』

これも名曲。 

      

"Angels Tale"   from  『 ROENTGEN 』

このアルバムの中でもデヴィッド・シルヴィアン的な曲のひとつ。 

      

" Secret Letters "  from『 ROENTGEN 』      

 

 これもデヴィッド・シルヴィアン的な曲。

 

4.   MÖTLEY CRÜE『 SHOUT AT THE DEVIL 』

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Shout of the devilby  MÖTLEY CRÜE

 

   派手なメイク、髪型、レザー、などの特徴的な外見と、ザクザクのギター音が相俟ったLAメタルと呼ばれるスタイルを確立し、多くのフォロワ-を生み出した彼らが発表した疾走感溢れる2ndアルバム ( 1983年 )。ビートルズの " ヘルタースケルター" もカバーしている。この頃、若かった洋楽ロック好きな人は誰でも、彼らの曲を、耳にしたことがあるはず。それくらい勢いがありましたね。

 

"モトリーはリアルタイムで聴いていました。ちょうど、LAメタルが流行って、ニューロマと重なってきていて今思えばルックスも似てるっちゃ似てたとも言え るし。そんななかで、当時、見た目はパンクなのかメタルなのかよくわからなかった(笑)。髪の立て方も、スージー・アンド・ザ・バンシーズみたいだった し。『なんやこれ? ものすごいルックスやなあ』と思って、そこから入りましたね。やっぱりルックスは大事だなといまだに思います。ルックスとサウンドがリンクした時にバー ン!とくるんでしょうね。( HYDE )"

 

   VAMPSは彼らの "LIVE WIRE ( モトリークルーの1stアルバム『 Too Fast For Love 』に収録 )" をカバーしていますが、特にチリでの演奏は観衆の熱気に押されてか、テンション高いです。"TROUBLE ( shampooのカバー )" から始まり、6:40秒頃から "LIVE WIRE" の演奏。この時のパフォーマンスは本家よりパワーがあるかも。

 

 

5.   Depeche Mode『Some Great Reward』

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 Some Great Rewardby Depeche Mode

 

 

"デペッシュ・モードはすごい音楽的衝撃を受けて、それからずっとフェイバリットですね。ここまで好きになってしまうと、駄作でもOKっていうくらい (笑)。新しい作品が出るだけでも十分みたいな、そういう域にいっちゃってます。デイヴ (・ガーン/ヴォーカル ) とマーティン (・ゴア/ギター、ヴォーカ ル、キーボード ) の2人がやってくれるだけでありがたいというか。"

"84年の作品だけど、未だに音楽的なネタの宝庫です。便利というか(笑)。ここもうちょっとこうしたほうがいいなっていう時に、デペッシュ・モードを思い出したりします。 そうすると自分好みになるんですよ。歌い方を真似してたこともありましたね。( HYDE )"

 

   "People Are People"  "Somebody"  "Master and Servant" などの名曲揃いの傑作アルバム ( 1984年発表 )。アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン ( ドイツのインダストリアル・ノイズミュージックの実験的バンド ) に影響を受けたマーティン・ゴアが前作から持ち込んだインダストリアル的志向性によって、重厚かつ金属的残響感が色濃く打ち出されている。そのような音作りによって醸し出される無機的な空気感がデカダンス ( 頽廃 ) を生み出しています。ある意味で、この作品はHYDEが自分のデカダンスの始まりと評したデヴィッド・シルヴィアンの『 Brilliant Trees 』以上にデカダンスが支配しているといえます。

 

   ここで『 Some Great Reward 』以上に評価が高く、彼らの最高傑作と呼ばれる『 Violator 』について触れておくべきでしょう。

        

 Vioraterby  Depeche Mode

 

  この作品は、確かにデカダンスに彩られているのですが、インダストリアル的方向性を打ち出していた『 Some Great Reward 』や『 Black Celebration 』と違って、強烈なデカダンスの効果を生み出していた金属感のある音処理は、影を潜めています。

ヴォーカルの音までが金属的に処理されていた『 Some Great Reward 』や『 Black Celebration 』に対して、『 Violator 』ではヴォーカルの有機性を生かすべく、金属感は取り除かれ、空間性は保てれているものの、音を前面に出すような作りになっています ( ちなみにリマスター盤では、音の粒立ちがはっきりしすぎてこの味わいは損なわれている )。これは、それまでの際限なく繰り広げられるデカダンスの波に、抑制を加え、コントロールする事で内面の世界観を作り出すことに成功しているという事です。つまり、たんなるデカダンスから、それをデペッシュ・モードの美学へと昇華させたわけですね。アルバムジャケットのアートワークである一輪の花が、それを象徴しています。この内面世界を構築するために採られる装飾を削ぎ落としたアプローチは、デヴィッド・シルヴィアンの『 Secrets of the beehive 』とも共通するものである事も付け加えておきましょう。

 

   デヴィッド・シルヴィアンの『 Secrets of the beehive 』やデペッシュ・モードの『 Violator 』に近い L'arc の曲といえば、彼らの世界観が壮大に表現された "forbidden lover" でしょう。戦争に巻きこまれている "女性?" が、かつての忘れられない恋人へ思いを募らせながらも、どうにもならない状況の中で神の名を叫ぶというストーリーのこの壮大な曲はライブでこそ、その真価を発揮するといえますね。

                          

 "forbidden lover" by L'arc~en~Ciel

 

    3. David Sylvian『 Brilliant Trees 』の所でも紹介しましたが、この曲のストーリーは明らかにデヴィッド・シルヴィアンの "Forbidden Colours" に影響されていますね。坂本龍一が作曲した大島渚の映画『 戦場のメリークリスマス 』のテーマソングに、デヴィッドが詞を乗せて作ったこの曲のタイトルが三島由紀夫の "禁色 ( 言うまでもなく、同性愛についての作品 )" の英語版に由来する事、そしてこの映画で同性愛的感情が描かれている事を考えると、"forbidden lover" における "恋人関係" がいかなるものかは容易に推測できます。しかし、HYDEが "Forbidden Colours" に影響されているとはいえ、それは同性愛的なものからというよりは、デヴィッドの曲作りを含めた "美意識" からだという方が適切でしょう。

 

"Forbidden Colours" by Sylvian&Sakamoto

 

         

6.   オフコース『We are』

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"音楽を作り始めた頃は僕はハードコアや、ゴシックロックにハマってたから、ラルクを始めて、すごくキャッチーな曲がメンバーから出てきた時に、どういう詩 を書いていいかさっぱりわからなかったんです。『何を言ってええんやろうな?』ってすごい迷って試行錯誤して詩を書いた時に、開いた引き出しがオフコース で。オフコースの曲って、実は都会的なクールな感じで、歌詞もすごく抽象的だと思います。言葉もかなり選んでいるし。そういうところで、『あ、こういう表現の仕方があるな』って。 ( HYDE )"

 

   HYDEが手がける詞は、美しく繊細であり、ほとんど詩人だなと思わせる曲がいくつかありますね、特にL'arcの "虹"  "花葬"  "forbidden lover"、ソロの "evergreen"  "shallow sleep" など。これらの詞を考える上で、小田和正を参考にしていたというのは興味深いですね。確かに小田和正の曲には、楽曲の中に埋もれてしまわない詞の力強さがあります。

        

 "時に愛は" by オフコース

" 時に愛は力つきて 崩れ落ちてゆくようにみえても~"  この詩的な言葉遣い・・・。 

 

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