〈 It / Es 〉thinks, in the abyss without human.

Transitional formulating of Thought into Thing in unconscious wholeness. Circuitization of〈 Thought thing 〉.

日産デザインヨーロッパについて

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日産自動車には刺激的なデザインの車があります。古くはマイクラC+C、最近ではデュアリス、ジューク、などです。これらをデザインしているのが、イギリスのロンドンにある日産デザインヨーロッパ ( NDE ) です。日産には世界に六つのデザイン拠点があるのですが、その中でも優れたデザインを発表しているという意味では、NDEは傑出しているといえるでしょう。

 

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  1.   ロンドンの日産デザインヨーロッパ

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   NDEは2003年、ロンドンのかつてのイギリス国鉄のメンテナンス車庫を改修して創設されました。 

     

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    内部はSF映画っぽく見えます。

                         

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   社内の作業風景。

 

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画像は日産:NISSAN OWNERS' MAGAZINE | 世界各国のデザインセンターから。

 

 

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  2.   NDE発のデザイン:キャシュカイ  

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   2013年に欧州日産は新型のキャッシュカイ ( 日本ではデュアリスとして販売されたSUV ) を発表したのですが、同年に日本でエクストレイルの新型が発表された時、それはひとつの驚きとなりました。

 

   というのも新型エクストレイルが新型キャシュカイとほぼ同じデザインだったからです。新型エクストレイルの発売に伴い、デュアリスは販売終了となりましたが、これは日本におけるキャシュカイ ( 日本名:デュアリス ) の販売終了というわけではありませんでした。その逆で、少なくとも日本においてエクストレイルと名づけられていたモデルの販売が終了したというべきでしょう ( 新型エクストレイルが旧型とデザイン的に違う車であるのは明らかでしょう )。

 

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   事実は 新型キャシュカイが日本ではエクストレイル名で販売されているというわけです。それならば、エクストレイルではなく新型のデュアリスとして販売すればいいのにという気もしますが、将来的なモデルチェンジの可能性 ( 日本デザインによる ) を考えてエクストレイル名を残しているのかもしれませんね。いづれにせよ、NDEによるキャシュカイのデザインが優れているといると日産内で判断されたと考えていいと思います。

 

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  3.   NDEのカスタムデザイン

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   東京オートサロン2016で日産はフランスのファッションブランド ( というより香水ブランドとして今や有名でしょう ) Lolita Lempicka と共同でデザインした「 マイクラ Lolita Lempicka 」を展示しました。これはフランスの日産法人が販売しているものですが、欧州日産のデザインをNDEが担当している事から、これもNDEが関わっていると考えてもいいでしょう。

 

   これについてMONOist に記事が掲載されているのですが、そのタイトルが面白いです。

"日本で売れない「マーチ」、フランスではファッションブランド特別仕様車が好評"

となっています。フランスで販売するマイクラの2%を同モデルが占め、ヒットといえるのだそうです。日本では評価が高くない4代目マーチが上手くカスタマイズされ洗練されましたね。     

  

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   ルーフとピラーは皮革調の表面加工したステッカーで覆われ、ボタン引きのレザーシートが高級感を出しています。   

  

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画像は日本で売れない「マーチ」、フランスではファッションブランド特別仕様車が好評 から。

 

   これ以前の2007年には、3代目マーチをカスタマイズしてクーペカブリオレ型のマイクラ C+C を発表しています。電動式メタルトップはボタンひとつでオープンが可能 ( その間約22秒 )。

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  4.   日本型デザインから世界型デザインへ

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   NDEのデザインによる日産車が存在感を放っている事から分かるように、日産車を日本を中心にした感覚で捉える時代はもう終わっているのかもしれませんね。部品などのパーツは共通の規格化が進み、世界各地の日産工場で共有されていくと思います。その分デザインの斬新化が求められていくという意味では、日本発以外のデザインの採用度が高くなるのは、日産においてはもはや当然の事なのでしょう。

 

   とはいえ、誤解のないようにいっておきたいのですが、日本的なものが駄目でヨーロッパ的なものが素晴らしいという訳ではありません。世界各地にデザイン拠点があるという事は、より柔軟で、より大胆なアイデアが出やすいという事であり、それは多国籍的なものからハイブリッドなもの ( 雑種的なもの ) が現れるという事になりますね。

 

   事実、NED副社長だった田井 悟氏に行われたResponse掲載のインタビュー ( 2005年当時。現在、田井氏は日産のエグゼクティブデザインダイレクター。) で、彼はNEDのデザイナー構成についてこう言っています。

28人のデザイナーのうち、1人だけ日本人で、そのほかは韓国人が1人、あとはアメリカ人やヨーロッパ出身者です。全体で12ヵ国と、マルチナショナルな構成になるように配慮しています。いろいろな国の出身者を集めることで、いろいろな発想を混ぜたいと考えています

 

   斬新なデザインといえば、2010年に発表されたJUKEでしょう。NDEのデザインをベースにして日本のNDGC(日産グローバルデザイン本部)が開発を行ったのですが、NDEのJUKEチーフデザイナーの渡辺誠氏 ( 田井氏が先のインタビューでNDEの日本人デザイナーと言っていたのは、おそらく彼の事でしょう ) のオートックワン掲載のインタビューが興味深いです。そこで彼は SUV+コンパクトスポーツカー という斬新なコンセプトを打ち出し、ラグジュアリーカーに負けない脱ヒエラルキー的な車を目指したと言っています。この挑戦的で現状に安住しない姿勢は素晴らしいですね。

 

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画像はオートックワンの日産 ジューク デザイナーインタビュー/プロダクトチーフデザイナー 渡辺誠二 から。

 

 

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