◆ 僕を哲学的に考えさせる建築物〈福岡編 2〉

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僕を哲学的に考えさせる建築物〈福岡編 1〉では伊東豊雄氏の作品「ぐりんぐりん」について書きました。今回は、自然との共生というテーマで伊東氏の"ぐりんぐりん"と共通項を持ちながらも、福岡市の天神という都市部のど真ん中にあるエミリオ・アンバースの「アクロス福岡」を引き合いに出しながら、建築物の居場所について書いてみますね。

 

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ぐりんぐりんの場所

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f:id:mythink:20160523084514j:plain 「ぐりんぐりん」はアイランドシティという埋立地のアイランドシティ中央公園の中にあります。一応福岡市内なのですが、ここは交通アクセスが悪すぎるのです(※1)。公共交通機関としてはバスがあるものの、自動車がなければ動きようがないかなという所です。なので、近くに住んでいなければ公園にわざわざ足を運ぼうとする人は余りいないでしょう(※2)。ましてや「ぐりんぐりん」という伊東氏の建築物だけを見に行こうとするのは、少数の建築マニアを除いてはいないと言えます。

 

アクロス福岡の場所

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f:id:mythink:20160523084514j:plain そんな「ぐりんぐりん」とは対照的に天神のど真ん中に位置するエミリオ・アンバースの「アクロス福岡」は建築物の居場所としては最高ではないでしょうか。

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画像はアクロス福岡 - 【旧】Re-urbanization 〜大阪再都市化〜【移転しました!】

ロングさんの写真が素晴らしかったのでお借りしました(※3)

 

都市における建築物の意義

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f:id:mythink:20160523084514j:plain 「ぐりんぐりん」と「アクロス福岡」は 確かに双方とも自然との共生というテーマで考えた時、理念としては似通っているかもしれないが、場所的な違いが大きいといえるでしょう。この場合、場所的な違いとは、都心部と都心から離れた周辺部の違いという事であり、それは人目にさらされるかどうかという事が建築物の存在感を決定づけるという事でもあります。

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain もっというならば、建築物が意識的に見られているかどうかという事よりも、人々が建築物の中や周辺を日常的に行きかい、集中する流れが出来上がる事が大事だと思われますなぜなら、それこそが建築物が都市を構成する動力であり、その中においてこそ建築家が自らの作品に問題意識を埋め込む事の意義が出てくると思えるからです

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain その問題意識のためには、建築物が周囲に馴染みすぎてはいけないのです(そんな建築家の作品などいらないと言われれば話は変わりますけど)。周囲に完全に溶け込んでしまえば、提示される問題意識も消え去ってしまうでしょう。この問題意識は建築家によって独占されるべきではなく、市民によっても共有されるものでなければならないといえるでしょう。

 

f:id:mythink:20160523084514j:plain エミリオ・アンバースから、もし私達が哲学的に読み取るべきものがあるとしたら、自然と人工的建造物を向かい合わせることによって微妙に生まれる不調和という事ではないでしょうか(※4)

実際には彼がそう考えていないとしても、そう考えられなければ、建築物における自然との共生というテーマはランドスケープという言葉で装飾された技巧的なものでしかなくなるでしょう(※5)

 

 

都市から離れた建築物

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f:id:mythink:20160523084514j:plain では都心部から離れた建築物にいかなる意義を見出すべきでしょうか?自然へと近づくにつれ建築物は"都市的なもの"の性質を失っていくように思われます。それは自然へと溶け込んでいこうとしているのでしょうか?いやそうなるには建築物は異和感を持ちすぎています。少なくとも、ここでいえるのは建築物は力動的で都市的なものから、長い年月へとさらされる"遺跡的なもの"の性質を帯びたものへ移行しようとしていると思われますね。

 

 

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(※1) 都市高速を引き込む計画もあるようですが、いかんせんアイランドシティ自体が無駄に広すぎます。車でアイランドシティをぐるっと回れば、誰もが率直にそう思うでしょう。この無駄に広い土地を有効活用出来るのかと考えた時、将来への見通しが余り良くないと感じるのは僕だけでしょうか。

 

(※2) 逆に近くに住んでいる人(アイランドシティの中に住んでいる人や、福岡市東区周辺の人)にとっては良い憩いの場所になっているでしょう。

 

(※3) ロングさんのブログは現在FC2に移転しているようなので、こちらからこのブログは面白いです。

 

(※4) 人口建造物と自然のこの不調和を肌で感じたのは、アクロス福岡で地道な植栽作業を続けてきた田瀬理夫さんでしょう。その甲斐あって彼は"5×緑"という植栽ユニットを確立し、都市における緑化作業を普及させましたね。

 

(※5)  この点からすると、個性的な建築家は、自らの作品に特徴を刻み込むという意味で、技巧的な方法論を選択せざるをえないと言えるでしょう。例えばエミリオ・アンバースがアクロス福岡で見せたステップガーデンの技法は、彼の他のプロジェクト(実現していないのも含めて)でも踏襲されているのであり、それは彼においては紋切型の技巧と言えなくもないでしょう。

 

 

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