哲学的考察と備忘録

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【 僕を哲学的に考えさせる建築物〈福岡編 1〉】

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 僕を哲学的に考えさせる新国立競技場の建設問題〈1〉伊東豊雄氏について書きましたが、今回は僕が今住んでいる福岡市にある伊東氏の建築物について書きますね。

 

 

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1.  ぐりんぐりん

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   博多湾港内の人工島アイランドシティにあるアイランドシティ中央公園 の公共施設「ぐりんぐりん」は、2005年の秋に人工島のオープニングイベントのメインパビリンオンとして建設されました。設計者はコンペで選ばれた伊東氏で、"ぐりんぐりん"という名称は一般公募で決定されました。グリーン(緑)と伊東氏による建物が長い布がぐりぐりとねじれた形状である事から来ているとの事です。

 

 

2.  シームレスという概念

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   三次元曲線の手法を生かした自由曲面の構造により、地面であった所が屋根に至るというねじれは "シームレス" という連続性の概念を示していると伊東氏は言います。

 

  ただし温室 ( 姉妹都市であるマレーシアのイポー市から寄贈された植物によって亜熱帯マレーシアの植生を再現している ) という建物の実際上の用途により、温度管理のためのガラス壁面による区切りや、安全性の問題から屋根の通路や手すりなどが "シームレス" を区切るものになってしまった事も伊東氏は述べています。

 

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画像はARCHITECHTURAL MAP http://allxa.web.fc2.com/a-map/jp_fukuoka/grin/grin01.html から。

 

 

3.  公園と一体化している "ぐりんぐりん" 

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   ARCHITECHTURAL MAPでも指摘されている通り、残念なのは休日にも関わらず「ぐりんぐりん」への入場者が非常に少ないことです。いや正確に言うならば、ぐりんぐりん "施設内部" の温室への入場者は少なくても、アイランドシティ中央公園全体としてみた場合、親子連れで賑わったりしているのです。ヤフオクドーム4個分(153000㎡)の広さがある公園の中では、ぐりんぐりんはその一部に過ぎません。これはぐりんぐりんが建物としてつまらないという事ではなく、そのなかにある温室へはわざわざ行こうと思わないだろうなという事 ( 管理されている方々には失礼な話ですが ) です。

 

   僕も足を運んだ事がありますが、ぐりんぐりんからは建築物としての存在感は消え失せ、公園の中にある "ひとつの施設" に見事なまでに成りきり、公園と一体化しているなと思いましたね ( 1 )。公園広場でくつろぎ、ぐりんぐりんを外から散歩すれば、それで十分であり、それ以上を求める気にならないとういうのが、そこを訪れる人の率直な気持ちでしょう。

 

 

4.  シームレスの建築物

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   では"ぐりんぐりん"を "建築物" としてどう考えるべきでしょうか?建築物として存在感が消え失せている事は、建築物として価値がないという事ではないでしょう。伊東氏の言う "シームレス" という連続性の概念を考えるならば、ぐりんぐりんは公園全体と境界のない連続性を形成しているという意味で "シームレス" の概念を成功させた建築であり、自らの存在感すら "シームレス" にとって余計なものとして消し去ったという訳です

 

   しかし、これは建築家のアイデンティティーにとって諸刃の剣でしょう。自らの建築概念の具現化に成功はしたものの、建築物の存在感が失われてしまうというのは、何とも言えない微妙な問題ではあるでしょう。実際に、今となっては伊東氏の作品において "ぐりんぐりん" はそれ程注目されるものではないでしょうから・・・。

 

 

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( 1 )

   単純に存在感という意味では、同じ公園内にある松岡恭子らによる「織物のフォリー」が際立っているでしょう。

 

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   ちなみに、ぐりんぐりん設計者の伊東氏による「太陽のフォリー」もあります。こちらは、ぐりんぐりんの自由曲面構造の延長上でおまけ的に設計したという感じでしょうか。う~ん・・・。

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 画像はアイランドシティ中央公園のブログ 施設案内(フォリー) | もりのできごとから。

 

 

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