〈 It / Es 〉thinks, in the abyss without human.

Transitional formulating of Thought into Thing in unconscious wholeness. Circuitization of〈 Thought thing 〉.

新国立競技場の建設問題を哲学的に考える〈 2 〉

 

 

 前回の記事 を書いている時国立競技場改修案のことも気になりました今回は建築物の改修について少し書いておきますちなみに国立競技場改修案はいつのまにか立ち消えになっていたのですがその辺の経緯についてはジャーナリストの大根田康介氏が興味深い記事を書いています国立競技場改修はなぜ消えた?:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース

 

  それによるともともとJSCは2010年に国立競技場耐震改修基本計画の策定業務を依頼していたというそれに対する久米設計の国立競技場耐震改修基本計画はインターネット上でも見ることが出来ます ( 80ページの抜粋版ですが )

 

  そこまで話が来ていた改修案がなぜ建替えになってしまったのかそれに対して大根田氏は2010年11月に設立されたラグビー議連の政治力 ( 大物政治家が名を連ねています ) によるものだとしていますね詳しくは記事の方をまた以下に紹介する森山氏の記事でも久米設計の国立競技場耐震改修基本計画について取り上げています

 

 



  1章   世界のスタジアムの改修  

 


. 建築エコノミストの森山高至氏が世界のスタジアムの改修例を取り上げていて興味深いです新国立競技場問題シンポで世界のスタジアム改修事例を紹介 - ログミー

レアル・マドリードの「サンティアゴ・ベルナベウセリエA トリノFCの「スタディオ・オリンピコ・デ・トリノドイツの「ベルリン・オリンピア・シュタディオン」などが例として挙げられています

 

 

. では日本ではどうなのか? 日本では新築でないと銀行からの融資がおりにくい古い建築物には担保価値がないからお金を貸せないという事ですそのような状況を変えるためには改修建築の資産価値評価制度を確立する必要があると森山氏は言っています

 



 2章   北九州市立戸畑図書館

 

 

. そのあと日本における改修例として北九州市戸畑区役所 ( 1933年に建築された帝冠様式の建物 ) を取り上げていますがこれが素晴らしい建築家の青木茂と構造設計者の金箱温春氏によってこの建物は "北九州市立戸畑図書館 ( 2014年 )" として再生されました ( 青木氏はこのような改修をリファイニング建築として提唱しています )

 

 

. 既存躯体の調査の結果耐震補強を伴う再生工事だった訳ですが内部の耐震補強部材としてスチール製のアーチフレームを使用しそのほかにも円筒状の補強材や耐震壁を内部に設け地震時の水平応力を負担させているとのことです

 

 

f:id:mythink:20160125192138j:plain

 

  上記の写真は青木茂建築工房のウェブサイトから

 北九州市立戸畑図書館|ワークス|WORKS|青木茂建築工房 

 

 

  工事前後の写真については

 

 

  この建物が素晴らしいのは1930年代の帝冠様式の外観を保存しているだけではなくスチールの補強材などを内部に設置して 目に見えるようしている点 だと思いますそれによって 私達の住む現在という時間もこの建物に痕跡として刻み込まれ、歴史の重層性を作り上げている事 が分かるようになっていますねこれはまさしく建築物が未来へ引き渡されていく遺産となっている事のよい例ではないでしょうか