哲学的抽象機械

映画・哲学・音楽について考える

オスカー・ワイルドの戯曲『 サロメ 』について考える

『 サロメ 』光文社 古典新訳文庫 ■ 著者 オスカー・ワイルド ■ 訳者 平野啓一郎 ■ 2012年4月20日 初版第1刷発行 ■ 発行所 株式会社 光文社 目次 ■ サロメ ■ 註 田中 裕介 ■ 訳者あとがき 平野啓一郎 ■ 解説 田中 裕介 ■ 『 サロメ 』によせて 宮本 亜門 ■ …

桜庭一樹の小説『 私の男 』について考える

『 私の男 』 ■ 著者 桜庭一樹 ■ 発行所 文春文庫 ■ 2010年4月10日 第1刷 ■ 初出 別冊文藝春秋 2006年9号~2007年7月号 ■ 単行本 2007年文藝春秋刊 目次 第 1 章 2008年6月 花と、ふるいカメラ p7. 第 2 章 2005年11月 義郎と、ふるい死体 p77. 第 3 章 200…

ポール・シュレイダーの映画『 魂のゆくえ 』( 2017 )を哲学的に考える

監督 : ポール・シュレイダー 公開 : 2017年 出演 : イーサン・ホーク ( エルンスト・トラー ) : アマンダ・サイフリッド ( メアリー ) : フィリップ・エッティンガー ( マイケル ) : セドリック・カイルズ ( ジェファーズ牧師 ) この記事は、よくある…

ジャック・カーディフの映画『 あの胸にもういちど 』( 1968 )を哲学的に考える

監督 : ジャック・カーディフ 公開 : 1968年 原作 : アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ 出演 : マリアンヌ・フェイスフル ( レベッカ ) : アラン・ドロン ( ダニエル ) : ロジャーマットン ( レイモンド ) この記事は、よくある味気ないストーリ…

池上遼一の講演録『 劇画家・池上遼一ができるまで 』を読む

■ 小学館の漫画家本 vol. 12 『 池上遼一本 』は、池上遼一の漫画家人生が凝縮された読み応えのある本でしたね。池上氏のメジャー作品 ( 例えば、有名な所で『 サンクチュアリ 』、『 HEAT ー灼熱ー 』など ) にしか興味のない方は結構いる ( 残念なことに )…

アラン・ロブ=グリエの映画『 快楽の漸進的横滑り 』( 1974 )を哲学的に考える

監督 : アラン・ロブ=グリエ 公開 : 1974年 脚本 : アラン・ロブ=グリエ 出演 : アニセー・アルヴィナ : オルガ・ジョルジュ=ピコ : ジャン・ルイ・トランティニヤン : マイケル・ロンズデール : イザベル・ユペール この記事は、よくある味気な…

ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 4 〉

■ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 3 〉からの続き 6. ハネケが無意識に考える集団的なもの a. 実は、ハネケが集団的なものの謎めいた不特定性を描いたのは『 白いリボン 』が初めてではありません。彼は既に、『 隠…

ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 3 〉

■ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 2 〉からの続き 5. 悪の出現 a. ようやく、ここにきて『 白いリボン 』におけるハネケの無意識的狙いを哲学的に解釈出来ますね。そのためには、ハネケの『 ファニーゲーム 』を念…

ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 2 〉

■ ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 1 〉の続き 4. ハネケのアプローチ a. 以上の事を踏まえた上で、『 白いリボン 』について考えていきましょう。多くの人が気付いているように、この作品はドイツの村での陰鬱な出…

ミヒャエル・ハネケの映画『 白いリボン 』( 2009 )を哲学的に考える〈 1 〉

公開 : 2009年 監督 : ミヒャエル・ハネケ 脚本 : ミヒャエル・ハネケ 出演 : クリスチャン・フリーデル ( 教師 / エヴァと結婚する ) : エルンスト・ヤコビ ( 語り手 / 過去を語る年老いた教師の声役 ) : レオニー・ベルシュ ( エヴァ / 男爵家の乳母…

マルクス・ガブリエルの『 なぜ世界は存在しないのか 』についての批判的考察

■ マルクス・ガブリエルの『 なぜ世界は存在しないのか 』・・・、この極端に単純化された哲学的説明によって覆われたこの本を読むと、僕は戸惑ってしまう〈 ※1 〉。この本でまず確認出来るのは、世界が存在しないことでもなければ、新実在論についてでもな…

ウィリアム・フリードキンの映画『 恐怖の報酬 オリジナル完全版 』( 2018:日本公開 )を哲学的に考える

公開 : 2018年 ( オリジナル版は1977年 ) 監督 : ウィリアム・フリードキン 出演 : ロイ・シャイダー ( ジャッキー・スキャンロン "ドミンゲス" ) : ブルーノ・クレメル ( ヴィクトル・マンソン "セラーノ" ) : フランシスコ・ラバル ( ニーロ ) : ア…

佐藤祐市の映画『 累 かさね 』( 2018 )を哲学的に考える〈 4 〉

■ 佐藤祐市の映画『 累 ーかさねー 』( 2018 )を哲学的に考える〈 3 〉 からの続き 6. サロメの首、丹沢二ナの首 a. この映画において『 サロメ 』が特権化されているのは、監督の佐藤祐市がクライマックスの場面で、斬首された "ヨカナーンの首" と "丹…

佐藤祐市の映画『 累 かさね 』( 2018 )を哲学的に考える〈 3 〉

■ 佐藤祐市の映画『 累 ーかさねー 』( 2018 )を哲学的に考える〈 2 〉 からの続き 5. "サロメ" の誕生 a. この映画のラストで使われている戯曲『 サロメ 』がオスカー・ワイルドによるものだということは既に述べました。そして前回では、ワイルドの『 …

佐藤祐市の映画『 累 かさね 』( 2018 )を哲学的に考える〈 2 〉

■ 佐藤祐市の映画『 累 ーかさねー 』( 2018 )を哲学的に考える〈 1 〉 からの続き 4. サロメの系譜 a. 『 累 ーかさねー 』の中で上演される『 サロメ 』( 1893 ) はアイルランドの作家、オスカー・ワイルド ( 1854 ~ 1900 ) の戯曲なのですが、これは新…

佐藤祐市の映画『 累 かさね 』( 2018 )を哲学的に考える〈 1 〉

監督 : 佐藤祐市 公開 : 2018年 脚本 : 黒岩 勉 原作 : 松浦だるま 『 累 -かさねー 』 出演 : 土屋太鳳 ( 丹沢ニナ たんざわにな ) : 芳根京子 ( 淵 累 ふち かさね ) : 浅野忠信 ( 羽生田 釿互 はぶた きんご ) : 横山裕 ( 烏合零太 うごうれいた…

リドリー・スコットの映画『 ブレードランナー 』ファイナルカット版( 2007 )を哲学的に考える

公開 : 2007年 ( 初公開時は 1982年 ) 監督 : リドリー・スコット 脚本 : ハンプトン・ファンチャー : デヴィッド・ピープルズ 原作 : フィリップ・K・ディック『 アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』 出演 : ハリソン・フォード ( デッカード ) :…

ルイス・ブニュエルの映画『 皆殺しの天使 』( 1962 )を哲学的に考える

監督 : ルイス・ブニュエル 公開 : 1962年 出演 : シルヴィア・ピナル ( レティシア / ワルキューレ ) : エンリケ・ランバル ( ノビレ ) : ルシー・ガヤルド ( ルチア / ノビレの妻 ) : アウグスト・べネディコ ( コンデ / 医師 ) : パトリシア・デ・…

ピーター・グリーナウェイの映画『 ベイビー・オブ・マコン 』( 1993 )を哲学的に考える

監督 : ピーター・グリーナウェイ 公開 : 1993年 脚本 : ピーター・グリーナウェイ 出演 : ジュリア・オーモンド ( 娘 ) : レイフ・ファインズ ( 司教の息子 ) : フィリップ・ストーン ( 司教 ) : ジョナサン・レイジー ( コジモ・デ・メディチ ) こ…

ロマン・ポランスキーの映画『 反撥 』( 1965 )を哲学的に考える

監督 : ロマン・ポランスキー 公開 : 1965年 脚本 : ロマン・ポランスキー 出演 : カトリーヌ・ドヌーヴ ( キャロル ) : イヴォンヌ・フルノー ( ヘレン ) : ジョン・フレイザー ( コリン / キャロルの恋人未満の男 ) : イアン・ヘンドリー ( マイケ…

ダーレン・アロノフスキーの映画『 mother ! 』( 2017 )を哲学的に考える

監督 : ダーレン・アロノフスキー 公開 : 2017年 出演 : ジェニファー・ローレンス ( 妻 ) : ハビエル・バルデム ( 夫 ) : エド・ハリス ( 客人・夫 ) : ミシェル・ファイファー ( 客人・妻 ) この記事は、よくある味気ないストーリー解説とその感想と…

ダーレン・アロノフスキーの映画『 ブラックスワン 』( 2010 )を哲学的に考える

監督 :ダーレン・アロノフスキー 公開 : 2010年 出演 : ナタリー・ポートマン ( ニナ・セイヤーズ ) : ヴァンサン・カッセル ( トマ・ルロイ ) : ミラ・クニス ( リリー ) : ウィノナ・ライダー ( べス・マッキンタイア ) : バーバラ・ハーシー ( エ…

ジョナサン・グレイザーの映画『 記憶の棘 』( 2009 )を哲学的に考える

監督 : ジョナサン・グレイザー 公開 : 2004 脚本 : ジャン・クロード・カリエール : ミロ・アディカ 出演 : 二コール・キッドマン ( アナ ) : キャメロン・ブライト ( ショーン ) : ダニー・ヒューストン ( ジョセフ ) : ローレン・バコール ( エレ…

メアリー・ハロンの映画『アメリカン・サイコ 』( 2000 ) を哲学的に考える

公開 : 2000年 監督 : メアリー・ハロン 脚本 : メアリー・ハロン、 グィネヴィア・ターナー 原作 : ブレット・イーストン・エリス 出演 : クリスチャン・ベール ( パトリック・ベイトマン) : ジャレッド・レト ( ポール・アレン / パトリックのライバ…

ジョセフ・ルーベンの映画『 危険な遊び 』( 1993 )を哲学的に考える

監督 : ジョセフ・ルーベン 公開 : 1993年 出演 : マコーレー・カルキン ( ヘンリー・エヴァンス ) : イライジャ・ウッド ( マーク・エヴァンス ) : ウェンディ・クルーソン ( スーザン・エヴァンス / ヘンリーの母 ) : ダニエル・ヒュー・ケリー ( ウ…

アーネ・グリムシャーの映画『 理由 』( 1995 ) を哲学的に考える

監督 : アーネ・グリムシャー 公開 : 1995年 原作 : ジョン・カッツェンバック 出演 : ショーン・コネリー ( ポール・アームストロング ) : スカーレット・ヨハンソン ( ケイティ・アームストロング ) : ブレア・アンダーウッド ( ボビー・アール ) :…

ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 4 〉

■ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 3 〉 からの続き 6. 脱男性化について a. シュレーバーの世界観の狂気を決定付けている "女性的なもの" の自分への取り込み、これについて…

ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 3 〉

■ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 2 〉 からの続き 5. 妻ザビーネとシュレーバー a. 4 ー e. で述べたようにテクストに書き込まれなかった "父" ではない別の何かとは 妻ザ…

ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 2 〉

■ ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 1 〉 からの続き 3. 世界観を構築するシュレーバーの意志 a. 回想録における世界観の展開を読む上で見過ごすべきではないのは、シュレーバ…

ダニエル・パウル・シュレーバーの『 シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記 』( 1903 )を哲学的に考える〈 1 〉

参照 : 『 シュレーバー回想録 ある神経症者の手記 』 邦訳 ( 平凡社ハードカバー版 1991年初版 全542ページ ) 著者 : ダニエル・パウル・シュレーバー 訳者 : 尾川 浩、金関 猛 改題 : 石澤誠一 目次 ・ 序言 ・ 枢密顧問官・医学博士フレッヒジヒ教授…